塾長ブログ
「倍率が低いから受かりやすい」は本当か?|群馬県公立入試2026・進路希望調査を読み解く
昨日(12月17日)、群馬県教育委員会が第2回進路希望調査の結果を発表しました。
全体倍率は0.97倍。
これは、現行の調査形式(10月調査・12月調査)が始まった平成18年度以降、過去最低の数字です。
「倍率が下がった!これはチャンスだ!」
そう思った方もいるかもしれません。
でも、ちょっと待ってください。
「倍率が低い=受かりやすい」は本当でしょうか?
今日は、この進路希望調査の結果を読み解きながら、本当に知っておくべきことをお伝えします。
第2回進路希望調査の結果(2025年12月17日発表)
まず、発表されたデータを確認しましょう。
| 全体倍率 | 0.97倍(前年同時期比 -0.03ポイント) |
| 定員割れの高校 | 63校中40校(63.5%) |
| 定員を上回った高校 | 63校中23校(36.5%) |
学校別倍率の上位5校
| 順位 | 高校 | 倍率 |
|---|---|---|
| 1位 | 高崎経済大学附属高校 | 1.46倍 |
| 2位 | 桐生高校 | 1.33倍 |
| 3位 | 伊勢崎清明高校 | 1.28倍 |
| 4位 | 高崎工業高校 | 1.25倍 |
| 5位 | 高崎高校 | 1.24倍 |
学科別倍率の上位
| 高校・学科 | 倍率 |
|---|---|
| 沼田高校・普通科(文理探究) | 1.53倍 |
| 高崎経済大学附属高校・普通科 | 1.53倍 |
| 高崎工業高校・土木科 | 1.53倍 |
「全体倍率0.97倍」の意味
全体倍率が1倍を切った。
これは、募集定員よりも希望者が少ないということです。
「じゃあ、公立高校は入りやすくなったんだ!」
そう思うのは早計です。
上位校は依然として高倍率
全体倍率は下がっていますが、上位校の倍率は依然として高いです。
| 高校 | 倍率 |
|---|---|
| 高崎高校 | 1.24倍 |
| 高崎女子高校 | 1.16倍 |
| 前橋高校 | 1.12倍 |
| 前橋女子高校 | 1.20倍 |
上位校を目指すなら、倍率は関係ありません。
高崎高校を目指す生徒は、依然として約1.2倍の競争を勝ち抜かなければならない。
「全体倍率が下がったから楽になる」わけではないのです。
定員割れしているのは、どこの高校か
定員割れしている高校は63校中40校(63.5%)。
では、どんな高校が定員割れしているのか。
定員割れしているのは、主に中堅〜下位の高校です。
上位の進学校は、むしろ倍率が高い。
つまり、こういうことです。
「入りやすくなった高校」と「入りにくいままの高校」の二極化が進んでいる。
私立志向の増加
今回の調査では、もう一つ注目すべきデータがあります。
公立高校への進学希望者が2.75ポイント減少。 県内私立高校への進学希望者が1.9ポイント増加。
県教委は「私立高校の授業料無償化の影響、少子化など複合的な要因がある」と分析しています。
これは何を意味するか。
「公立か私立か」ではなく、「行きたい高校に行く」という選択が増えている。
公立だから安い、私立だから高い、という時代ではなくなりつつある。
その結果、公立高校の希望者が減り、全体倍率が下がっている。
「倍率が低いから受かりやすい」の落とし穴
ここで、冒頭の問いに戻ります。
「倍率が低いから受かりやすい」は本当か?
落とし穴①:上位校は倍率が高いまま
高崎高校、高崎女子、前橋高校、前橋女子。
これらの上位校を目指すなら、全体倍率は関係ありません。
依然として、しっかりと準備しなければ合格できない。
落とし穴②:倍率が低くても、合格点は下がらない
倍率が下がっても、合格に必要な点数が下がるわけではありません。
特に上位校は、一定の学力がなければ合格できない。
「倍率が低いから、このままでも受かるだろう」と油断すると、痛い目を見ます。
落とし穴③:「入れる高校」と「行きたい高校」は違う
定員割れの高校が増えているということは、「入れる高校」は増えている。
でも、「入れる高校」と「行きたい高校」は違います。
本当に行きたい高校があるなら、その高校に合格するための努力が必要です。
今回の結果から言えること
今回の進路希望調査から言えることをまとめます。
①上位校を目指すなら、油断は禁物
高崎高校1.24倍、前橋女子1.20倍。
上位校は依然として競争が激しい。
「倍率が下がった」というニュースに惑わされず、しっかり準備を続けてください。
②最後に差がつくのは「記述力」
上位校を受ける生徒は、みんな勉強ができます。
その中で差がつくのは、記述問題です。
国語・社会・理科の記述問題で、しっかり点を取れるかどうか。
記述力がある生徒が、合格をつかみます。
③「入りやすい」に騙されない
全体倍率0.97倍という数字だけを見て、「入りやすくなった」と思わないでください。
自分が行きたい高校の倍率を見て、必要な準備をすること。
それが、合格への近道です。
そして、何よりも今回の調査はまだ確定ではありません。
実際の入試においてはこの結果を踏まえて変更する人もいますし、まだ志望校がしっかり決まっていない人もいます。
この数字から全く異なる結果になることもあるわけですから、あくまでも参考程度として勉強を続けるのみです。
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※本記事のデータは、群馬県教育委員会が2025年12月17日に発表した「令和7年度 第2回 中学校等卒業見込者進路希望調査結果」に基づいています。
