塾長ブログ
「本を読まない」より深刻?スマホが子どもの読解力を奪う理由
「うちの子、本を読まないんです」
保護者の方から、よくこういう相談を受けます。
本を読まないから、読解力がつかない。
たしかに、それも一理あります。
でも、私はもっと深刻な問題があると感じています。
スマホです。
今日は、スマホが子どもの読解力に与える影響についてお伝えします。
東北大学の研究が示す「衝撃の事実」
東北大学の川島隆太教授は、仙台市の小中学生7万人を対象に、スマホ使用と学力の関係を調査しました。
その結果、驚くべき事実が分かりました。
毎日2時間以上勉強しても、スマホを3時間以上使うと、「ほとんど勉強しない子」より成績が低い。
勉強時間の問題ではない。
睡眠時間の問題でもない。
スマホそのものが、学力に悪影響を与えているのです。
なぜスマホが「読解力」を奪うのか
では、なぜスマホが読解力に悪影響を与えるのでしょうか。
私は、3つの理由があると考えています。
理由①:長い文章を読む「集中力」が育たない
スマホで触れる文章を思い浮かべてください。
・LINEのメッセージ(数行)
・SNSの投稿(数十文字)
・動画のコメント(一言)
どれも短いですよね。
スマホに慣れた子どもたちは、短い文章を「流し読み」する習慣が身についています。
でも、国語のテストで出てくる文章は違います。
入試の長文読解は、数千字あります。
短い文章を流し読みする習慣がついた子どもが、いきなり数千字の文章を読めるでしょうか。
読めません。
途中で集中力が切れる。
何が書いてあったか覚えていない。
結局、問題が解けない。
これが、スマホ世代の「読解力低下」の正体です。
理由②:「じっくり考える」習慣がなくなる
スマホがあれば、分からないことはすぐに検索できます。
「この漢字、何て読むんだろう?」→ 検索
「この言葉、どういう意味?」→ 検索
便利ですよね。
でも、これが読解力を奪っているのです。
国語の読解問題は、「答えがどこかに書いてある」わけではありません。
自分の頭で考えて、答えを導き出す必要があります。
でも、スマホに慣れた子どもは、「分からない → 考える」ではなく、「分からない → 検索」という習慣が身についている。
だから、テストで分からない問題が出ると、考えることを放棄してしまうのです。
理由③:「言葉で表現する力」が衰える
LINEでのやり取りを思い浮かべてください。
「了解」→ スタンプ
「嬉しい」→ 絵文字
「面白い」→ 「www」
言葉を使わなくても、コミュニケーションが成立してしまう。
これを続けていると、どうなるか。
言葉で表現する機会が、圧倒的に減ります。
国語の記述問題は、「自分の言葉で説明する」ことが求められます。
でも、普段から言葉を使っていない子どもは、いざというときに言葉が出てこない。
「何を書けばいいか分からない」
「どう表現すればいいか分からない」
記述問題が苦手な子が増えている背景には、スマホによる「言葉離れ」があるのです。
「本を読まない」より深刻な理由
「本を読まない子」は、昔からいました。
でも、昔の子どもは、本を読まなくても、別の形で「言葉」に触れていました。
・友達との長電話
・手紙のやり取り
・家族との会話
でも、今の子どもは違います。
友達とのやり取りは、LINEで短文+スタンプ。
暇な時間は、動画を見る。
家族といても、それぞれがスマホを見ている。
言葉に触れる機会そのものが、激減しているのです。
だから、「本を読まない」だけなら、まだ何とかなります。
でも、スマホ漬けの生活は、読解力の土台そのものを壊してしまう。
これが、「本を読まない」より深刻だと私が考える理由です。
スマホ世代の子どもに、読解力をつけるには
では、どうすればいいのでしょうか。
①「スマホを置く時間」を作る
まずは、スマホから離れる時間を作ることです。
東北大学の研究では、スマホ使用は1日1時間以内が推奨されています。
いきなり1時間は難しくても、「勉強中は別の部屋に置く」「食事中は触らない」など、スマホを置く時間を少しずつ増やしていきましょう。
②「長い文章を読む」機会を作る
読解力をつけるには、長い文章を読む練習が必要です。
本を読むのが理想ですが、難しければ新聞記事やネットの長文記事でもOKです。
大切なのは、最後まで読み切る経験を積むこと。
途中で飽きても、最後まで読む。
この「粘り」が、読解力の土台になります。
③「音読」をする
読解力を伸ばすのに、最も効果的なのが音読です。
音読は、目で読んで、口で発して、耳で聞く。
脳をフル活用するトレーニングです。
スマホで動画を見ているときとは、脳の使い方がまったく違います。
1日10分でいいので、教科書や本を音読する習慣をつけてみてください。
国語の成績が伸びない本当の原因
「国語が苦手」という子どもが増えています。
でも、その原因は「センスがない」「才能がない」ではありません。
読解力を育てる習慣が、スマホによって奪われているのです。
逆に言えば、スマホとの付き合い方を変えれば、読解力は伸びます。
お子さんのスマホ使用時間、把握していますか?
一度、親子で話し合ってみてください。
高崎国語塾彩では
高崎国語塾彩は、国語専門の塾です。
「読む力」「考える力」「書く力」を、一人ひとりに合わせて指導しています。
特に大切にしているのは、音読と丁寧に読む習慣。
スマホで「流し読み」が身についてしまった子どもでも、正しい読み方を学べば、必ず読解力は伸びます。
「うちの子、国語が苦手で…」
「文章を読むのが嫌いみたいで…」
そんなお悩みがあれば、ぜひ一度ご相談ください。
高崎国語塾彩
参考文献:
- 東北大学加齢医学研究所「学習意欲の科学的研究に関するプロジェクト」
- 川島隆太『スマホが学力を破壊する』(集英社新書)
- 榊浩平・川島隆太『スマホはどこまで脳を壊すか』(朝日新書)
